近年、長距離走競技のスピード化がより進行し、その練習に対する考え方を変えなければならないといっても過言ではない状況においても、フルマラソンの準備(練習)については、これまでの考え方と大きく変わらず多くの走練習を行う必要があることは否めないと考えています。
もちろん、練習量(総走距離)とフルマラソンタイムが直線比例関係にある訳ではないと考えられますが、端的にいえば42.195kmをより速く走る練習が必要であるといえる訳ですから、他の長距離走種目の練習に比べて練習量が多くなる(単純に考えれば、例えば10kmをより速く走る練習の4倍の練習量が必要)のは必然であるといえるでしょう。
(この先、男子フルマラソンのタイムが軽く2時間を切ってくる状況になれば、フルマラソンの練習に対する考え方も大きな転換期を迎えるのではなないかと予想していますが。)
ここで問題になるのが、走練習量が多くなればなるほどケガ(特に慢性障害)のリスクも大きくなるという点だと考えています。
実際、これまでに接してきたランナーの話を伺うと、フルマラソンの練習を重ねるにつれて痛み(故障)が生じてフルマラソン出場を断念したり、レース当日に思うように走れなかった、という話を耳にします。
フルマラソンに出るための練習で故障してフルマラソンに出れなくなる、というのはある意味で本末転倒であるといえる訳ですが、フルマラソンの練習で故障しない身体を作ることもフルマラソンの準備として極めて重要な要素になると考えられ、そこにウエイトトレーニングが大きく貢献するのではないかと考えます。
すなわち、フルマラソンの準備として、まずはウエイトトレーニングによって筋力を高め、筋、腱組織を強くしておくことでフルマラソンのための走練習で故障しない身体を作ることが重要であるということです。
これまでの先行研究によって、ウエイトトレーニングやプライオメトリックトレーニングを実施することでトラック種目のパフォーマンスが向上することが示唆されていることから考えると、ウエイトトレーニングはトラック種目のパフォーマンスに直接的に作用、貢献するといえる一方で、ウエイトトレーニングがフルマラソン競技パフォーマンスに直接的に貢献することはないかもしれませんが、フルマラソンの走練習で起こりうる故障を防ぎ充分な走練習を実現させるという点からウエイトトレーニングはフルマラソン競技パフォーマンスに間接的に貢献するといえるでしょう。
こうした考えに基づきウエイトトレーニングに取り組もうと決心したランナーのウエイトトレーニング指導を先日から開始しました。
故障からの復帰段階ということもあり、まずはウエイトトレーニングによる筋力強化に注力した上で夏合宿から本格的に走練習に取り組み今秋以降の駅伝、フルマラソンに備えたいということで、これから充分なサポートをしていく覚悟でいます!
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